留学前の生活
朝、新社会人の姉と両親を見送り、食器を洗い終わり休憩がてらSNSを眺めている時、私は気がついてしまった。
私の中に、小学生ぶりにあの感覚が蘇ったことに…。
時は1ヶ月前に遡る。
1ヶ月後に10ヶ月の留学を控えた私は、留学準備のための時間を確保する必要があった。
バイトを辞め、お世話になった友人や家族に会いに行き、ホームステイ後に住む家を探し、荷造りをしていた。
そしていよいよ出発は来週に迫っていた。
私は焦っていた。
やることはまだたくさんある。
・友達とご飯に行く。
・カメラのキタムラに写ルンですを持っていく
・家事
・留学先の歴史の本を読む
・骨折で入院してしまった祖母のお見舞い
・ホームステイ後に住む家を探す
そして今朝、ソファに座った私は気づいてしまった。
あれ?
暇だ…
やらなければいけないことがたくさんあると思っていた。
もちろん、ホームステイの後に住む家は早く見つけなけらばいけないが、実際は向こうに着いてからでないと難しい。
1ヶ月前に連絡を取っていた家は全て他の人が借りてしまった。
私は絶対内見に行きたいので、日本にいるときに来月行きたいと連絡しても、
明日5時ならいいよ〜
とか返信が来るのである。
着いてから探そう。
そして私は決まった時間に決まった期間でやらなければならないことがなかった。
こんな感覚、実に小学生以来だ。
中高は運動部で、大学はサークルとバイトでそれなりに予定が詰まっていた。
今は、何もない。
特にバイトをしていない開放感が大きい。
バイトをしないだけで全ての人が幸せになれるのではないだろうか。
もちろん、貯金は減る。親のお金で留学に行かせていただくのに毎日暇そうに過ごすことにも罪悪感はある。
しかし、それらの感情と比較できないほど遥かに幸福なのである。
経済用語でいうと、効用が大きい。
少し前はセンチメンタルになり、
もうすぐみんなに会えなくなる!
見知らぬ土地にひとりぽっち…
とメソメソしていたのだが、留学準備と心の準備のための時間がありすぎて、もうどうでもよくなってきた。早く出発したい。
予想に反し、実にあっさりした出発になるのではないだろうか。